2024/09/26
ファンライフ社長が語る|耐震性はどこまで求めるべきか【後編】
ファンライフ社長・福場が「耐震性」について語るシリーズ、後編。
今回は、本当の耐震性を見極めるためのポイントについてお伝えします。
「等級○相当」に騙されてはいけない!
−−耐震性を見るには「耐震等級○」という表記だけで判断してはいけないって本当ですか?
【福場】残念ながら、本当です。実は、住宅会社の中には国や自治体の公式な認定を受けていないのに「耐震等級3相当」と表記している会社もあるのです。本来、耐震等級の認定を受けるには、住宅性能評価機関という所へ申請書を出して審査に合格しなければなりません。その認定を経ていないのに「〜相当」をつけることで誤魔化している場合があるので、要注意です。
−−「耐震等級3相当」なら、等級3の耐震性があると思ってしまいそうです。
【福場】裏事情を言うと、認定機関による審査にはお金がかかるので、コスト削減のためにあえて審査に出さないという会社もあるようです。しかし実際のところ正式な認定を受けていないので、本当に等級3レベルなのかはその会社にしか分かりません。当然、証明書もないので、地震保険などの割引も受けられません。これらの状況を考えると、「等級○相当」という評価には何の意味もないと思いますね。
計算方式でも違う!?耐震等級のもう一つの注意点
−−では、「等級○相当」ではなく「等級○」とはっきり書かれていたら安心できますか?
【福場】ところが、そうでもないんですよ。実は耐震等級を取るために強度を算出する方法には、大きく分けて2種類あるんです。一つは、壁の必要量とバランスだけを計算する「簡易計算(壁量計算)」と呼ばれる方法。もう一つは屋根・壁・基礎それぞれにかかる荷重を細かく数値化して計算する「許容応力度計算(構造計算)」と呼ばれる方法です。今の法律では、木造2階建て住宅なら簡易計算だけでも耐震等級の申請ができてしまいます。
−−素人が聞いても、許容応力度計算の方が正確で安心できそうです。
【福場】そう思いますよね。当然ながら耐震性は壁量だけで決まるものではなく、基礎や床、屋根、構造材の接合部の強度などを総合的に見ないと判断できません。簡易計算と許容応力度計算では、提出する資料の量も圧倒的に違います。ですから本当の耐震性を確認するには、許容応力度計算がマストだと考えます。「耐震等級3」と謳っている住宅会社を見たら、どちらの計算方法で等級3を取得しているのかよく確認することが大事です。
−−等級の表記だけでは、本当の耐震性はわからないんですね。
【福場】実のところ、「等級3相当」や「簡易計算で等級3」の家よりも、きちんと許容応力度計算をして等級2を取得している家の方が断然安心できると思います。今後は法改正で基準が厳しくなったり、許容応力度計算が義務化されたりすることもあるかも知れませんから、見せかけではなく本当に耐震性の高い家を選ぶようにしてください。